結婚愛

Swedenborg Sampler

 創造以来、両性には結合してひとつになりうる能力、また、ひとつになろうとする傾向が植えつけられている。(『結婚愛』157)

 この結合の能力は、創造によって両性に植えつけられ、永続しているので、それぞれがお互いに結合したいと熱望することになる。愛は、それ自体、結合への欲求であり作動力である。そして結婚愛は、結合してひとつになろうとする欲求であり作動力である。人間の男性と女性は、あたかも一人の人間、一人の肉体になることができるように創造されている。そして二人がひとつになるとき、彼らは完全な意味において人間になる。もし、そのような結合がなければ、彼らは二人であり、それぞれが分割された存在であり、半人間にすぎない。(『神の摂理』37)

 ほんとうの結婚愛は、純潔な愛であり、みだらな愛と共通のものは何もない。それは異なる性の一人に限定され、それ以外の人々はすべて排除される。というのは、それは魂の愛で、その結果としての肉体の愛だからである。肉体の愛で、その結果としての魂の愛ではない。つまり、それは魂を苦しめる愛ではない。(『結婚愛』44)

 ほんとうの結婚愛は、二人の心の結びつきであり、霊的な結びつきである。そしてすべての霊的な結びつきは天界から降りてくる。したがって、ほんとうの結婚愛は、天界に由来するものであり、その最初の存在は、元をたどればそこにおける善と真理の結婚にさかのぼることができる。天界における善と真理の結婚は主に由来する。それゆえ聖言においては、主は「花婿」あるいは「夫」と呼ばれ、天界や教会は、「花嫁」あるいは「妻」と呼ばれている。そのため、天界は結婚に譬えられるのである。(『天界の秘義』10168)

 結婚愛の中に、すべての至福と歓喜が詰まっている。われわれの感じる喜びは、何であれ、われわれの愛と関わっている。愛は喜びをとおして表れる。実際、愛は喜びをとおして実在し存続する。・・・結婚愛の中に、すべての歓喜が詰まっているわけは、それが他のどんな愛の役立ちにもまさる優れた役立ちを果たしているからである。それは人類の増殖、ひいては天使的天界の増殖という役立ちである。そしてこの役立ちは、創造の究極の目的だったので、創造者である主によって与えられうるすべての至福、喜び、楽しみ、愉快さ、愉悦が、この主の愛の中に集中しているのである。(『結婚愛』68)

 ほんとうの結婚愛が存在するのであるが、それは今日では非常にまれなので、それがどのような性格のものであるか知られていないし、それが存在することもほとんど知られていない。(『結婚愛』58)

 主から結婚愛を受けなければ、誰もほんとうの結婚愛の中にはいない。(結婚愛の中にいる)彼らは、主に直接に近づき、主から教会の生活を生きている人々である。というのは、起源と照応からみて、この愛は、天界的、霊的、神聖、純粋、清潔であり、天界の天使や教会の人々のどのような愛をも越えているからである。そして結婚愛のこれらの特性は、主に連結している人、また主によって天界の天使とつながっている人以外には与えられないからである。このような人々は、結婚外の情事を差し控える。それは自分自身のパートナー以外の者との結合であり、魂への侮辱行為であり、地獄の汚物入れに他ならないからである。配偶者がこのような結合を避ける限り、さらには意思の欲望においても、その結果としての意図においてもそのような結合を避ける限り、それだけ結婚愛は浄化され、漸進的に霊的になっていく。最初はこの世において、次には天界においてそうなるのである。(『結婚愛』71)

 異なる宗教を信じている二人の間に結婚愛はない。なぜなら、一方の真理は他方の善と調和しないし、二つの類似性のない不調和な本質が、二つの心をひとつにすることはないからである。したがって、彼らの愛の根源には霊的なものは何もない。たとえ彼らが一緒に住んで仲良くしていても、それは自然的な理由からそうしているにすぎない。この理由のために、天界における結婚は、同じ社会の内側にいる人々の間で結ばれる。なぜなら、彼らは同じような善と真理の中にいるが、社会の外にいる人々はそうではないからである。(『天界と地獄』378)

 天界は人類から成っており、そこには男性の天使と女性の天使がいる。また、創造により、女性は男性のために、男性は女性のために存在するので、一方は他方に属する。そしてこの愛(結婚愛)は、両者にとって生得的なので、天界には地上と同じように結婚がある。(『天界と地獄』366)

 結婚生活がどのように天界で形づくられるか見ることが私に許されている。天界全体にわたって、似た者は集まり、似ていない者は引き離されている。このように、すべての社会は同じ心の人々から成っている。似た者同士は互いに引き寄せられるが、それは自分の意思によるのではなく、主によってそうされるのである。同様に、恋人は互いに引き寄せられ、彼らの心は結合して一つになることができる。それゆえ、一目見ただけで彼らは互いに深く愛し合い、パートナーであることを知り、夫婦関係に入っていく。このように、天界における結婚は、すべて主だけの働きなのである。(『天界と地獄』383)

 天界の結婚は、地上の結婚と次の点で異なる。地上の結婚は、(他の諸役立ちに加え)子孫の産出のためであるが、天界においてはそうではない。天界においては、子孫の産出の代わりに、善と真理の産出がある。(『天界と地獄』382)

 霊的なことは、それ自体、愛と知恵に関わる。したがって、天界の結婚から生まれるものは愛と知恵である。愛と知恵が生まれると言われるが、それは結婚愛が天使を完全なものにするからである。というのは、それが彼を自分のパートナーと結びつけるので、彼はますます人間(homo)になるからである。というのは、天界の夫婦は、二人ではなく一人の天使だからである。したがって、結婚愛的な結合によって、彼らは自らを人間的なもので満たす。それは、賢くなろうとすることであり、英知に属するものを愛そうとすることである。(『結婚愛』52)

➡スウェーデンボルグの人生訓