スウェーデンボルグの影響

スウェーデンボルグに関する著名人の証言を集めました。

内村鑑三Uchimura Kanzo 彼(スウェーデンボルグ)の心は余の構想力を越えた心であった。・・・スウェーデンボルグから完全な真理を得ようと欲する者は躓くであろう,しかし真の学者的謙遜と基督信徒的畏敬とをもって彼のもとに行く者は,余は疑わない,大いなる祝福を受けて出で来るであろう。・・・あの著しい人の余の思想に及ぼした影響は常に健全であった。『余は如何にして基督信徒となりし乎』より)

我は「スヱ一デンポルグ」の著述の或るものを読みて大なる喜びを感ず。彼の教説の多くは受くるゝ能わずと雖も,彼は聖書の最も難しき個所の多くを解明するに大いに我を助けくるなり。彼は偉大なる人、愛すべき人、疑いなく力強き思想家なり。彼は多くの者には神秘的なり。然し彼の精神を理解する人々には、1メソジスト牧師の我に述べる如くに、「気狂ひ」 a crazy にはあらず。(1885年4月19日付、新渡戸稲造に宛てた書簡より)

ラルフ・W・エマソンRalph Waldo Emerson スウェーデンボルグの魂は巨大であり・・・・その全貌をとらえるには長い焦点距離が必要だ。・・・彼はいわば学問の世界に生きるミスリウムやマストドン(いずれも古生物の巨獣)のひとりであり,凡百の学者たちを,大学ぐるみでいくらたばにしてみても,とうてい測りきれるものではない。

エリザベス・B・ブラウニングElizabeth Barett Browning 他生について私の心を照らし出した唯一の光は,スウェーデンボルグの哲学の中に見出される。その哲学は,把握できなかった多くのことを解明している。

ヘレン・ケラーHelen Adams Keller スウェーデンボルグのような哲学者の教えや世界の偉大な思想家たちの理想に対して無関心である程度に応じて,それだけ現代の文化は失敗している。(『私の宗教』より)

 ヘレン・ケラーの詳細な解説は こちら をご覧ください。

トマス・カーライルTohmas Carlyle (スウェーデンボルグは)偉人であり,論議の余地のない教養人であった。強靭な数学的知能の持ち主であり,いとも敬虔で,最高の天使的性格の持ち主であった。私には美しくて,慕わしく,しかも悲劇的人物のように思われる。・・・彼の著作には誰よりも多くの真理が表明されている。

ケネス・リング Kennes Ring 私はスウェーデンボルグをどのカテゴリーに入れてよいかわからない。・・・哲学者,見者,それとも神秘家なのか。これらのすべてだ,と私は思う。彼はみずからの個人的体験の基礎をふまえて現代の臨死体験の発見したものを先取りしているようだ。彼が多くのことを語り得たのは,真にまったく異例なことなのだ。臨死体験をした人は本質的に死の入口をかいま見たにすぎない。スウェーデンボルグは死という家全体を探索したのだ。

チェスワフ・ミウォッシュCzeslaw Milosz なぜスウェーデンボルグは綿密な吟味に値するのだろうか。それは偉大な詩人や散文作家たちが彼から自由にその思想を借り受けてきたという事実があるからだ。そのリストは長い。--まず,彼の霊的な直系であるブレイク,次にスウェーデンボルグの熱烈な読者だったゲーテ,そしてエドガー・アラン・ポー,ボードレール,バルザック,ミツキエヴィチ,エマソンと続く。さらにリストはドストエフスキーまで続くが,彼の作品の中に登場するスヴィドリガイロフ(『罪と罰』)や,ゾシマ長老の説教(『カラマーゾフの兄弟』)に,私たちはスウェーデンボルグの反映を見出す。

賀川豊彦Kagawa Toyohiko スウェーデンボルグは愛の人である。世の人は,彼の不思議な超人間的な経験のみを知って,愛の使徒であることを知らない。・・・多くの人が,この愛の賢人を理解しないで,いたずらに異端視することは,文明にとって最大の損失である

コリン・ウィルソンColin Wilson 単なる奇人として退けてしまうには,彼はあまりにも天賦の才に恵まれた人物であり,あまりにも謙虚で,正常な適応性をもった人物なのである。

スンダル・シングSundar Singh 自分はたしかにこの(スエデンボルグの)著作が神の啓示にもとづくことを信ずる。・・・最も尊敬すべきスエデンボルグ,彼は霊界の極めて高きにある,そして多くの人を導くのに優れた大聖者である。

横尾忠則Yokoo Tadanori いつか彼の膨大な書物全てに目を通すことがあることを願う。ぼくはこの書物を完全に理解できるだけの知識は持ち合わせていない。だけどこの本の波動を受信する自信はありそうだ。

渡部昇一Watanabe Shoichi スウェデンボルイは十八世紀の最大の科学者・哲学者・神学者の一人でもあって,決して怪しげな巫術師などではないのである。・・・彼の霊界の叙述も,むしろドライな感じがするほど平淡なものであるだけに,単なるオカルティズムと片づけるわけにもゆかず,カントもその大著を買いこんでそれを読み上げ,論文を書いたのである。ここに示されたカントの見解は,彼が近代理性の権化であること,その研究の対象となったスウェデンボルイが巨大なオカルティストであることによって,光が力を失いはじめ,闇のひろがりが身近に感じられるようになった現代に生きるわれわれに示唆するところが甚大である。

モーリス メーテルランクMaurice Maeterlinck ・・・知恵は愛の燈火で,愛は其燈火の油である。・・・愛は知恵の糧である,而して知恵は愛の糧である,光の環の中で,愛する者は必ず賢い人の手を握るものである。知と愛は常に一つである,而してスウェーデンボルグの天国に於ては,妻は「賢者の知恵の愛」なのである〔『霊智と運命』栗原誠訳,玄黄社,1921年〕。

鈴木大拙Suzuki Daisetsu 神学界の革命家,天界地獄の遍歴者,霊界の偉人,神秘界の大王,古今独歩の千里眼,勢力無比の学者,出俗脱塵の高士,之を一身に集めたるをスエデンボルグとなす。吾国今や,宗教思想界の風雲,漸くまさに急ならんとす。精神を養はんとするもの,時世を憂ふるもの,必ず此人を知らざるべからず。これ此書の成れる所以。(『スエデンボルグ』丙午出版社,大正2年,序文より)

夏目漱石Natsume Souseki 「其上彼はシュエデンボルグがどうだとかこうだとか云って、無学な私を驚かせました」(『こころ』より)

フロストとリンカーン