巻頭言2021

巻頭言 愛は神の本質である

1 神は愛そのもの知恵そのものであり、この二つが神の本質を構成する。
2 神は善そのもの真理そのものである。なぜなら善は愛に属し真理は知恵に属するからである。
3 愛そのものと知恵そのものは、生命そのもの、つまりそれ自体における生命である。
(『真のキリスト教』36)
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大拙は大乗仏教の根本を仏の大悲と大智とし、これをスウェーデンボルグの神の愛と知恵と解した。したがって神と言っても仏と言っても、言葉にとらわれる必要はなく、それらは有限な人間を無限の慈悲ないし愛で生み出し維持し導く無限の存在者と見なせばよいと思う。スウェーデンボルグ自身、普遍宗教の創唱者なのであって、宗教・教派を初めから超越していたのである。
(高橋和夫『スウェーデンボルグのことばと思想』173、193頁)