巻頭言2022

巻頭言   神的交流(Divina communicatio)

かれは夢を見た。見よ、梯子が地上にあり、その頂は天に達し、見よ、神の天使たちが、それを上り下りしているのを見た。(創世記、第28章、第12節)
「見よ、神の天使たちが、それを上り下りしているのを見た」とは、無限・永遠なる交流と、それに由来する結びつきを示します。(長島訳『天界の秘義』3701)
この上り下りがどのような実情を指すのかは、いままで述べたことからもわかります。これは人の再生にかかわる順序であり、内的意味上、ここでこれからも浮き彫りにされる順序でありながら、教会の中ではまったく知られていません。(同前)
以上の語句の内的意味には、秘義が隠されています。つまり、あらゆる善も真理も主から下り、また主へ上っていくこと、すなわち主は、始原 Primus であり、終局 Ultimus であることです。主の神性が人をとおして、自然の末端終局にまで下り、また自然の末端終局から、主に向かって上っていきますが、人はそのように創造されています。したがって人は、神性を自然世界に一致させ、自然世界を神性に一致させる媒体です。(同書 3702)