随筆松下

多様な価値観の尊重


松下美智子

 今年は自然界や社会問題、霊的状況において変化の激しい年のような気がしております。「隠れているものであらわにならないものはなく、秘密にされているもので知られず、またあらわれないものはありません」(ルカ817)。あらゆる出来事が善用され、進歩し、善くなるために必要なのだと思うようになりました。
 昨年他界なさった高橋先生が、長年にわたり主への愛に突き動かされスウェーデンボルグの翻訳本を世に出されたことは、ほんとに感謝なことだったと心からお礼を申し上げたく思っています。
 7年前、ヘレン・ケラーの『私の宗教』を図書館寄贈のため何冊か注文させていただいた時、初めてお電話でお話しすることが出来ました。
 スウェーデンボルグの本との出会いから、私が亡き主人との婚約時代、柳瀬先生のお宅で半年ほど奥様の医院や家事のお手伝いをしていた時期と多少の違いはありましたが、高橋先生も柳瀬先生ご夫妻にお世話になったこと等、懐かしそうにしておられ、会話がはずんだことをよく覚えています。
 柳瀬先生の心血注いだ翻訳のおかげで求めに求めた真実なキリスト教に出会えたこと、読むたびにありがたい気持ちになっています。そしてまた、高橋先生がキリスト教関連でなく、普遍教会への働きかけとして一般(未来社、講談社、たま社等)の出版社を用いて下さったことは、時代の要請に沿ったアイデアであり、奥様である千春さんの内助の功、役立ちが果を結んだと思っています。
 「わたしは、この囲いに属さないほかの羊をも導かなければなりません。彼らは、私の声に聞き従い、ひとりの牧者一つの群れとなるのです」(ヨハネ10―16)
 世界が身近になってきた現代においては、インターネットを用いて真理探究も出来ますし、以前より有用で実践的真理を見いだすこともあります。真実やフェイクの混じった情報の中、取捨選択するには、やはり見抜く知恵が必要です。
 迷いやすい私達の羊飼いであられる主の御声を聞きわけることが出来るよう祈りつつ「羊たちは、その声を聞き分けます」(ヨハネ10―3)。失敗しながらでも経験を重ね、実践し、自分らしく生きるしかないと考えるようにしています。
若い頃は視野が狭く、外なる教義にこだわり保守的だった気がします。主人が他界してからというもの、思いがけない出来事や人間関係の辛く苦しい体験、生きづらさを感じたりしているうち、徐々にリベラレル(多様な価値観を尊重し、共助、共生などの助け合いを尊重する)になっている自分に気づいてきました。スウェーデンボルグが『仁愛の教義』89で「宗教に従って善良に生き神に反する悪を行わない異教徒なら、あるキリスト信者以上に愛します。その人のいのちがそうだから愛しているので、ある教義を愛しているからではありません」と書いていますが、心から同感いたしました。人は自己愛や思い込みと戦い、さまざまな試練を通し、改良され、寛容と柔軟性を身につけていくのかもしれません。
最近テレビでUFOの特集がよく放映されるようになり、興味深くビデオに録画したのですが、宇宙人のことが気になり、高橋先生が訳なさったスウェーデンボルグの星界報告を読み返すいい機会になりました。
水星人は知識欲が旺盛で、ある種誇り高く宇宙を旅しているとのこと。地球に来ているUFOは彼らかなと思ってしまいます。ス師は「彼らは手段である知識を愛し、目的である役立ちを愛さない」としていました。木星の霊たちは「穏やかで優しい気質のため、他人を傷つけないかと恐れ、善を行うことを愛している」とのこと。そんな人達だけだとどんなに幸せだろうなあ―と、あこがれます。『星界報告』が見えるUFOだけでなく、真実を探究する方たちにおおいに役立ってほしいと願わずにおれません。
科学は進歩し文明は大きく変化しながら、宇宙のこともますます明らかになってくるでしょう。なにより神様を認め、現在の社会現象の表れから霊的状態を悔い改め、生き方を見直す必要がありそうです。自分自身の問題として正しく歩めるよう祈らされています。